12歳で軍事寄宿学校に送られたことを本人は「両親に拒絶されたと感じた」と語っています。
このように家庭から切り離され厳格な環境に置かれたことが、彼の支配欲や賞賛への欲求を強化した可能性があります。

これら3人の事例に共通するのは、トラウマや年齢に見合わない強いフラストレーションの経験です。
子どもにはある程度の困難が必要ですが、それが極端だった場合、感情の回復力を失い、防衛的なナルシシズムが育つことになります。
そして何より、3人に共通するのが権威的な父親像です。
支配的で愛情を与えず、感情的に不在な父親と、母親の過剰な補償が、健全な自己概念の発達を妨げたと考えられます。
この研究は、これらの指導者たちに見られる誇大性、賞賛への欲求、批判への敵意、共感の欠如などの特徴は、単なる野心やイデオロギーだけではなく、癒されていない幼少期の傷に根ざしている可能性を示唆しています。
もっとも、この研究にはいくつかの重要な限界があります。
本人への心理面接や臨床評価ではなく、あくまで伝記や歴史的記録に基づくものであるため、臨床的な診断は下せません。
また同じような幼少期の逆境を経験していても、すべての人がナルシシストになるわけではなく、個人差は大きいとチームは指摘しています。
それでもこうした家庭環境の複雑さが、将来的に、危険な政治リーダーを生むことにつながるかもしれません。
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参考文献
Narcissistic leadership in Hitler, Putin, and Trump shares common roots, new psychology paper claims
https://www.psypost.org/narcissistic-leadership-in-hitler-putin-and-trump-shares-common-roots-new-psychology-paper-claims/