研究の中心にあるのは、健全なナルシシズム(自尊心を支える)と病的なナルシシズム(防衛的で反応的)の違いです。

健全なナルシシズムは、適切な愛情とほどよい困難を経験することで育まれ、自己肯定感や自信、自尊心を生むのに役立ちます。

一方、病的なナルシシズムは、幼少期のトラウマや過剰または不安定な養育環境によって生じることが多く、過剰な自己像を通じて脆弱性を隠そうとする防衛反応です。

そして調査の結果、ヒトラー、プーチン、トランプに共通する家庭背景が見つかりました。

危険なナルシシストを生む家庭環境の共通点とは?

研究によると、ヒトラー、プーチン、トランプのいずれも、幼少期に健全なナルシシズムの発達を妨げるような心理的ストレスにさらされていました。

一言で説明すると、彼らはいずれも厳格で権威的な父親と情緒的に過保護な母親のもとで育っていたのです。

このような、片親からの厳しい抑圧と、もう一方からの過度な愛情という組み合わせは、子どもに情緒的不安定を引き起こし、無価値感や不安から逃れるために誇大な自己像を形成する要因になるといいます。

たとえば、ヒトラーは父親から“カバ革のベルト”で頻繁に暴力を受けていたとされていました。

その一方で、母親は彼を溺愛し、3人の子を亡くした後の心の拠り所として扱っていました。

このような極端な環境が、ヒトラーの誇大な自己意識や支配欲の形成に関与した可能性があります。

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ヒトラー/ Credit: ja.wikipedia

プーチンも類似の家庭背景を持っています。

彼の両親は彼が生まれる前に2人の子を亡くしており、プーチンは戦時の苦労話を聞いて育ちました。

彼自身も父親からベルトで叩かれていたと公言しており、母親からの情緒的な注目を一身に受ける“代替児”として育った点もヒトラーと共通しています。

またトランプの場合は身体的虐待ではなく、情緒的な見捨てられ体験が指摘されています。