チームはドローンと土壌センサー、電気抵抗トモグラフィーと呼ばれる最新の技術を駆使し、土地の温度・水分・地中構造を調査しました。
すると、砂の山の表面温度はなんと摂氏60度に達し、周囲の森林に覆われた土壌に比べて最大100倍もの速度で水分が排出されることが判明したのです。
土壌の深さ1.5~2メートルにわたり乾燥した層が広がっており、雨が降ってもすぐに蒸発。地中に水がとどまらず、植物の根が水を吸収できない状態になっていました。
チームを率いたウッドウェル気候研究センターのアブラ・アトウッド博士は「苗木を植えても、まるでオーブンの中で木を育てるようなものです」と語っています。
森林が再生できない仕組み
では、なぜこうした砂の山や停滞池が森林再生を阻んでいるのでしょうか?
本来の森林土壌は、雨水を適度に保持し、根に水分を届ける「スポンジ」のような機能を果たしています。
しかしサクション・マイニング後の土地では、そのスポンジが消え去り、砂利だらけの“ザル”に変わってしまっています。
地表は熱を吸収して灼熱化し、降った雨はすぐに地下深くに消えてしまう。結果、木の苗は乾燥と高温で枯れてしまうのです。

一方、調査では標高の低い場所では土壌水分が高く、自然再生が進んでいることもわかりました。
これは地下水へのアクセスが比較的確保されているためであり、森林再生において「水へのアクセス」が決定的なカギを握っていることを示しています。
この研究により、これまでのように「苗木を植えればそのうち回復する」といった楽観的な再植林戦略では不十分であることが明確になりました。
チームは、再生を成功させるには次のような対策が必要だと提言しています。
・採掘で形成された砂山を平坦化し、表面の過熱を防ぐこと
・人工池や水たまりを埋め戻し、地下水位を上げること
・吸水性のある土壌材を使用し、根が水分に届く環境を整えること