熟練のパラグライダーパイロットが雲に吸い上げられ、なんと高度8600メートルまで急上昇するという、稀で危険な現象から奇跡的に生還した。この衝撃的な出来事はSNSで瞬く間に拡散され、大きな話題を呼んでいる。

氷点下40度、酸素欠乏…「クラウドサック」の恐怖

 今週、中国のパラグライダーパイロット、Liu Ge氏が、危険なほどの低酸素とマイナス40度という極寒の中で冷静さを保とうとする様子を捉えた写真や動画がSNSで拡散された。映像には経験豊富な彼の衣服や顔が氷で覆われ、低酸素のために呼吸もままならず、意識を失わないように必死になっている姿が映し出されている。

 5月24日、Liu氏は中国西部の甘粛省と北東部の青海省の境界に位置する祁連山脈の約3000メートルの地点から離陸した。しかし、彼がパラグライダーを楽しんでいると、背後に積乱雲が現れ、気づけば雲よりも高く、どんどん上昇してしまったのだ。

 この「クラウドサック」と呼ばれる現象は、パラグライダーやハンググライダーが積雲、特に雄大積雲や積乱雲の下にあるサーマル(上昇気流)によって著しい上昇をすることでよく知られている。

 この現象を経験したパイロットたちは、通常なら急速な降下をもたらすはずのディープスパイラル(グライダーを急旋回させて高度を下げる技術)を行っても、強力なクラウドサックの中では降下できなかったと報告している。