ペスト菌は「弱毒化」することで生き延びた?
研究チームは過去3回にわたるペストの大流行(パンデミック)それぞれの時代のペスト菌のサンプルを調査した。
ユスティニアヌスのペスト:500年代、中世初期に発生し、約200年間続いた。
黒死病:1300年代半ばに始まり、ヨーロッパ、西アジア、アフリカの人口の最大半数を死に至らしめ、数世紀にわたり流行が続いた。
第三次ペストパンデミック:1850年代に中国で発生し、現在もサハラ以南のアフリカの一部地域で症例が報告されている。
驚くべきことに、これら3つのパンデミック全てにおいて、ペスト菌の遺伝子は時間とともに毒性が弱くなるように進化していたことが明らかになった。つまり、病原菌はより致死的でなくなることで、感染期間を延ばし、人から人へと広がる機会を増やしていたと考えられるのだ。
研究チームは、この仮説を検証するため、最近のペスト菌サンプルをラットに感染させる実験を行った。その結果、毒性が低下すると病気の期間が長くなることが示されたという。

未来のパンデミック対策への光
現在では抗生物質によって効果的にペストを治療できるようになったが、今回の研究は他のパンデミックがどのように進化する可能性があるかについて、重要な手がかりを与えてくれる。
共同著者であるハビエル・ピサロ=セルダ氏は、「これにより、病原体がさまざまな状況にどのように適応できるかについて、包括的な理解を得ることができる。私たちはついに、ペストとは何か、そしてどのようにして身を守るための対策を講じることができるのかを、より深く理解できたのだ」と述べている。
黒死病という過去の悲劇から学ぶことで、私たちは未来の脅威に立ち向かうための新たな知恵を得ることができるのかもしれない。この遺伝子レベルでの理解は、まさにその第一歩と言えるだろう。
提供元・TOCANA
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