「手に取りやすく、日常的にご利用いただける価格帯の惣菜」を提供し続ける
「パックデリ」シリーズ投入の背景について、セブンは次のように説明する。
「まず、前提としてご説明させていただきます。今回の取り組みは『フタ付きのプラスチック容器の商品をフィルム包材に置き換える』ものではなく、既存のカップ型容器を用いた商品(いわゆる「カップデリ」シリーズ)を継続販売しつつ、新たにフィルム包材を用いたより手ごろな惣菜シリーズ『パックデリ』を展開するものです。この新シリーズ導入の背景には、昨今の原材料や包装資材価格の高騰もございます。そうしたなかでも、お客様にとって『手に取りやすく、日常的にご利用いただける価格帯の惣菜』を提供し続けるための一つの選択肢として、よりシンプルな包装形態の商品を拡大することといたしました。
フィルム包材の採用により、フィルムの状態で工場に納品され、工場でパック型に成型するため物流効率に優れております。また、カップタイプと比較してプラスチック使用量の削減にもつながる点は、環境負荷軽減の観点からも意義があると考えております。今回の『パックデリ』は、価格訴求力・環境配慮・商品バリエーションの拡充という複数の目的を兼ね備えたシリーズであり、既存の『カップデリ』とあわせて、より幅広いお客様ニーズに応えてまいりたいと考えております」
「パックデリ」の拡充の主な目的は「値下げ」なのか。
「『価格の抑制』は一つの目的ではありますが、あくまでお客様にとっての手に取りやすさ(=値ごろ感)を維持することが主眼です。同時に、環境負荷の軽減や、この包材だからこそできる商品設計の工夫といった複数の視点を持って検討・導入しており、単なる値下げ戦略ではございません」(セブン)
「実質的なお得感」を高める商品づくり
フタ付きのプラスチック容器と比較し、どれくらいの価格低下効果があるのか。
「容器の資材コストとしては、カップタイプとの比較で約2割のコスト削減につながっております。包材の見直しだけでなく、調理工程や商品設計の工夫も含めた総合的な取り組みの結果、シリーズ全体としては30~50円程度、価格を抑えて提供することが可能となっております」(セブン)
では、競合他社が容量据え置きのままでの値下げや、容量増加による事実上の値下げなどの動きを強めるなか、セブンは事実上の値下げを進めていく方針なのか。
「当社では、5月13日より『お値段そのまま!人気商品増量祭』を開催しております。こちらは、対象となる人気商品について価格は据え置いたまま内容量を増量することで、お客様に実質的な値下げ実感と満足感を提供する期間限定のキャンペーンです。日々のご利用の中で、少しでも『お得さ』を実感いただけるよう、価格以外の価値で還元する取り組みとなっております。
このような販売促進企画に加え、当社では日頃よりお客様の日々の食卓を支える存在であり続けることを目指し、価格だけに依存しない、総合的な価値提供を重視しております。量目・価格・満足感の全体設計を通じて、『実質的なお得感』を高める商品づくりに努めており、容量増加や仕様変更などによる価値の見直しも、今後の商品特性やお客様のニーズを踏まえて柔軟に検討してまいります」(セブン)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)