ユーザ体験が良くなるのかどうかは分からない
インターネットの世界、もしくはユーザにとって想定されるデメリットはあるのか。
「従来の検索エンジン、ブラウザよりも、よりパーソナルデータにアクセスして、より高度な処理をするというかたちになっていくので、そこに対する懸念は高まるかもしれません。そのほか、今ほとんどのネットユーザがグーグルのブラウザに親しんでいるわけで、そこにChatGPTの検索エンジンがポンと入ってきたときに、ユーザ体験が良くなるのかどうかは、誰にも分かりませんし、損なわれる可能性はあるかもしれません」(中村氏)
AI検索をめぐっては、その普及によって従来のネット検索におけるSEO対策が、あまり意味をなさなくなってくるのではないかという議論も出始めている。
「その傾向は出てくると思います。理由の一つは、AIエージェントは一瞬の間に裏で数十回の検索をかけているので、相対的に人間がやる検索よりもAIエージェントが行う検索のほうがボリュームが大きくなります。あとは、それだけAIエージェントというものが一般生活者によって使われるのかという話になりますが、あくまで私の実感としては、私自身や弊社の社員は、現在でもすでに、何か迷ったらとりあえず生成AIに聞いてみるという行動スタイルになっており、そういう行動習慣が広まると、その分だけブラウザ検索を利用する時間は減ることになります。現時点ではSEO対策の意味がないというところまでは減ってはいませんが、止められない流れではあると思います。そうなってくると、ユーザがAI検索を行った際に裏側でいかにMCPサーバーに価値のある情報を提供できるのか、といったかたちで、ウェブサービス側の戦い方が大きく変化してくる可能性はあるでしょう」(中村氏)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中村晃一/Idein代表取締役CEO)