2019年2月期に前期比で利益がほぼ半減した衣料品大手「しまむら」は、9月30日に2019年3~8月期の連結決算を発表した。純利益は1%増となったものの、売上高は4.1%減だった。天候の影響もあったが、品揃えの課題も浮き彫りに。最新決算では中高年向け新ブランドの立ち上げも示唆した、復活でには時間がかかりそうだ。

しまむら半期の売上高は4.1%減の2,643億円に留まる

しまむらの2019年3~8月期の連結決算では、売上高が前年同期比4.1%減の2,643億9,300万円に留まった。営業利益は143億5,500万円(同0.3%増)、経常利益は145億9,300万円(同1.0%減)で、純利益は96億1,300万円(同1.1%増)となった。

売上高の構成比では、主力の「しまむら」事業が全体の78%を占めている。しまむら単体の売上高は前年同期比で4.7%減だった。子ども服を扱う「バースデイ」事業の構成比は全体の9.7%でしまむら事業の次に大きく、売上高は同7.5%増となっている。

2020年2月期の業績予測は、売上高が前期比3.1%増、営業利益が同36.5%増、経常利益が同36.1%増、純利益が同46.1%増と、いずれも拡大を見込んでいる。

気温や梅雨明けの遅れが売上に影響

2019年3~8月期の連結決算において売上高が低調だった要因の一つは、3月下旬から4月中旬にかけて気温が低い日が続き、肌着や寝具などの売上が伸びなかったことだ。梅雨明けの遅れが、7月の季節商品などの販売に影響したことも響いた。

また主力のしまむら事業では、割引販売を減らしたことで客単価は上がったが、品揃え不足などが影響し、客数は前年を下回っている。

同社は、2019年の大手企業の夏季賞与が2年ぶりのマイナスとなる3%減となり、消費マインドが冷え込んだことも要因と考えている。ゴールデンウィークの10連休や令和への改元に際しても、「消費の盛り上がりは限定的」と報告した。

「品揃え」にも課題、売上低下招く

しまむらグループの純利益は、2017年2月期は前期比32.8%増の328億6,200万円と好調だったが、その後は2期連続で減少している。特に2019年2月期は前期比53.8%減となり、黒字は確保しているものの、純利益は159億9,600万円まで縮小した。

2019年2月期の業績不振の要因は、品揃えの絞り込みが消費者から支持されなかったことだ。客数、客単価ともに前期比でマイナスとなり、商品ラインナップに関する戦略の見直しを迫られる結果となった。

同社は9月30日の決算発表で品揃えについても触れており、2019年3~8月期は幅広い年齢層向けの商品が不足していたことが売上減につながったと説明している。

そのため、同社はしまむら事業で好調な30代をターゲットにしたブランド「HK WORKS LONDON」に加え、新たに中高年向けの商品を追加し、販売に注力するとしている。

しまむらが2020年EC事業へ進出

過去の業績と今回発表された2019年3~8月期の連結決算を見ると、品揃え戦略が同社の業績を左右していることがわかる。売上構成比は小さいが、雑貨販売の「シャンブル」事業では品揃え強化の効果が出ており、これまでに培ったしまむらの商品調達力は健在だ。今後の復活に期待したい。

しまむらは決算発表の同日、2020年7月を目途に自社でEC(電子商取引)サイトを開設することも発表した。EC市場は世界的に成長基調にあり、利用者も増加傾向にある。今後は、しまむらも競争の激しいEC市場で戦うことになる。

品揃えの強化とEC事業、当面はこの2つがしまむら復活の鍵となりそうだ。

文・MONEY TIMES編集部
 

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