つまり、私たちは眠りに落ちた最初の30分間は大脳を休めるノンレム睡眠にあり、そこで脳や体に蓄積された疲労がクリアされているのです。
しかし、私たちが昼寝をするとそんなに深い眠りに落ちている感覚はないでしょう。
その理由は、ノンレム睡眠には4つのステージがあり、30分を超えるとステージ3のより深い眠りに陥ってしまうためです。
ステージ3以降の深い眠りに入ると目覚めは非常に悪くなり、覚醒後に体はだるさを感じ、脳は意識や記憶があいまいになる見当識障害を起こしやすくなるのです。
これを「睡眠惰性(スリープ・イナーシア)」と呼び、逆に脳と体の疲労感が高まってしまいます。
だからこそ、15〜30分の短い昼寝が最も効果的なのです。
さらに中国・山東大学の研究(Sleep Medicine Reviews, 2022)によると、60歳以上では30分を超える長い昼寝が心血管疾患のリスクを高めることが指摘されています。
特に1日に1時間以上の昼寝をしている高齢者は、血圧の上昇・高血糖・体脂肪の増加・コレステロール値の異常が発生しやすくなっていたという。
しかし短い昼寝(パワーナップ)は年齢や性別を問わず、すべての人々に健康メリットがあると考えられています。
お昼に15〜30分ほどのパワーナップ習慣を取り入れることで、午後を活気に満ちた時間にできるかもしれません。
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参考文献
‘Power naps’ improve memory and lower heart disease risk, but long naps can have drawbacks
https://www.livescience.com/health/sleep/power-naps-improve-memory-and-lower-heart-disease-risk-but-long-naps-can-have-drawbacks