その結果、鋸歯の振幅と幅をそれぞれ6mm、間隔を8mmに設定した「SER6」という設計が、騒音低減と空力性能のバランスにおいて最も優れた成果を示しました。
では、実際にこの新しいプロペラはどのくらい騒音を抑えられるのでしょうか?
「フクロウ翼模倣プロペラ」が最大3dBの騒音軽減を達成!それってどれくらい?

実験では、この新しいプロペラが最大で3dBの騒音低減を達成しました。
ここでいう3dBとはどの程度の騒音低減を意味するのでしょうか。
普通の会話は約60dBであり、掃除機の音は約70dBだと言われます。
10dBの差はこれくらいはっきりしたものですが、今回の騒音低減効果とは、この3分の1程度ということです。
3dBに対する人間の耳が感じる騒音の変化は明らかであり、皆が「静かになった」とはっきりと認識できるものです。
とはいえ3dB低減では、「劇的な効果」というよりも「やや静かになった」と確実に認識できるレベルです。

「たった3dB」と思われるかもしれません。
しかし、騒音対策が難しいドローン分野において、この小さな改善は極めて重要な成果です。
特に都市部での運用において、この差がドローンの社会受容性を決定的に変える可能性があります。
また、通常は騒音低減を追求するとプロペラの空力性能(推力や効率)が大きく低下するというトレードオフが存在します。
しかし、今回の設計では空力性能の低下を4〜8%という軽微なレベルに抑えることにも成功しています。
この「騒音低減」と「性能維持」の絶妙なバランスが、このプロペラ設計の大きな魅力です。
この技術は大型ドローンだけでなく、空飛ぶクルマなど未来の移動手段にも適用可能でしょう。