ドローンの活躍は止まらない一方で、騒音問題が課題となっていることも事実です。

特に人口密集地でドローンが広がるためには、この問題を解決しなければいけません。

そこで、この分野に挑戦したのが千葉大学の研究グループです。

彼らは、フクロウの翼に隠された「静かな飛行の秘密」を模倣

特殊なプロペラを開発し、騒音を効果的に低減する技術を生み出しました。

この研究成果は2025年5月23日付けの『Physics of Fluids』誌に掲載されました。

目次

  • フクロウの翼が教えてくれた「静音の秘訣」
  • 「フクロウ翼模倣プロペラ」が最大3dBの騒音軽減を達成!それってどれくらい?

フクロウの翼が教えてくれた「静音の秘訣」

今回の研究が注目したのは、夜行性で知られるフクロウの翼です。

フクロウは夜間に獲物を狩る際、驚くほど静かに飛び、対象に気づかれずに瞬時に近づきます。

その秘密は翼の羽根の前縁にある鋸歯状の小さな突起にあります。

フクロウの翼にあるこの鋸歯状の構造(セレーション)は、飛行時に翼に当たる空気の流れを細かな渦に分割できます。

大きな渦は乱れを生み出し、それが騒音の原因となりますが、小さな渦へと分割することで乱れを抑え、結果的に騒音を大幅に低減できるのです。

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(a)フクロウの翼の形態、(b) フクロウの第 10 主羽根、(c) クリーンなプロペラ(CLE)と、鋸歯の大きさが異なる 3 つの鋸歯状プロペラ(SER3、SER6、SER9)、(d) CLE モデルの正面図、(e)鋸歯形状の特徴。/ Credit:千葉大学

研究グループは、この自然界の高度な静音技術を大型ドローンのプロペラに応用しました。

プロペラ前縁部にフクロウの翼を模した鋸歯形状を設計し、数値流体力学の手法であるラージ・エディ・シミュレーション(LES)とFfowcs Williams-Hawkings音響アナロジーという高度な計算手法を駆使して、最適なデザインを追求しました。