Salesforceを導入し、Sansanとの連携を開始

 三菱UFJ銀行は4月からSalesforceを導入し、Sansanとの連携を開始したが、それによってどのような機能強化・サービス内容の拡充が実現するのか。

「従来、顧客データはSansanを含めて複数のシステムに分散しており、同一顧客でも新旧情報が社内に混在する状態でした。情報更新や収集が負担となり、提案準備に時間がかかるなど、全社でデータを効率的に活用できていませんでした。2025年4月よりSalesforceを導入し、Sansanとの連携を開始したことで、行内外の情報を一元化することで営業担当者が顧客をより深く理解し顧客に寄り添った提案をすることが可能になります。部門を横断した担当者間でのスムーズな情報共有や、データメンテナンスの効率化、最新情報に基づく提案の強化を進め、営業力と顧客体験の向上を目指していきます」

 大手銀行関係者はいう。

「従来、銀行は個人や法人の極めて機微な情報を扱うという特性から、情報管理が厳重に行われ、情報を行内から持ち出すことはもちろん、外から閲覧・アクセスするということが許されにくく、強い制限がかけられてきました。また、各支店では取引先ごとに担当者が明確に決められ、取引先の連絡先は担当者しか把握していないというのが一般的でした。ですが、どの銀行も従来型の融資業務が先細るなかで、個人などの資産を総合的に管理・運用するウェルス・マネジメント事業に力を入れるようになり、新規顧客の開拓やトータルサービスの提案のために取引先情報の共有と有効活用が不可欠となり、Sansanのような仕組みの活用が必要になってきています。

 これまで銀行はシステムの自前主義の姿勢が強かったですが、すでに普及している既存のサービスであれば低価格かつ短期間で導入が可能となるので、こうした動きは銀行業界でも広まっていくのではないでしょうか」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)