なぜなら、宇宙に飛び出す微小な粒子の動きは極めて微弱で、他の現象と区別するのが難しいからです。
火星のスパッタリングを初観測!
研究チームは今回、NASAの火星探査機「MAVEN」が2014年から蓄積してきた9年以上の観測データを徹底的に解析しました。
鍵となったのは、火星の大気中に存在する「アルゴン(Ar)」という希ガスです。
アルゴンは反応性が低く、他の影響を受けにくいため、スパッタリングの影響を示す「痕跡」を検出するのに最適な物質とされていました。
チームはまず、太陽風の電場が火星に向かって入り込む領域で、アルゴンの濃度が通常よりも高くなっていることを発見しました。
これはスパッタリングによって新たに弾き飛ばされたアルゴンが検出されたことを意味します。
つまり、火星の大気が宇宙空間に失われていく瞬間を観測することに成功したのです。
こちらは1976年に撮影された火星の大気の画像。
This is a photo of the surface of Mars taken by the Viking 1 orbiter in 1976.
It looks like something out of a sci-fi film you’d see today.
(And yes, that *is* a smiley face in that crater…)
Credit: NASA/JPL-Caltech, processing by Andrea Luck (@andrealuck.bsky.social)
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— Paul Byrne (@theplanetaryguy.bsky.social) 2025年3月17日 11:21
さらに注目すべきは、2016年1月に発生した大規模な太陽嵐(ICME)の際、アルゴンの濃度が100倍以上に跳ね上がったという観測です。
これはスパッタリングの効果が、太陽の活動によって大きく強化されることを裏付けています。