トゥスク政府は2023年12月、政権発足後、PiSの前政権下で導入された司法制度の改革、中絶禁止令の撤廃などを行おうとしたが、PiSのドゥダ大統領は拒否権を行使して阻止した。したがって、トゥスク氏にとって、トシャスコフスキ氏の勝利は今後の政権運営を楽にするためには不可欠だ。
なお、ウクライナへの継続的な支援では両候補者には大きな差はない。ナヴロツキ氏はメディアの質問に答え、「我々は、旧ソ連のロシアを倒そうとするウクライナの努力を支持する。ロシアの新帝国主義的脅威に対抗することは、ポーランドの戦略的利益にかなう」と述べている。
ワルシャワのシンクタンク、欧州外交評議会のマルタ・プロフヴィチ・ヤゾフスキ氏によると、「政府陣営はナヴロツキ氏の勝利を恐れている一方、PiSにとっても大統領選は非常に重要な意味を持つ。大統領選の敗北は党内に深刻な混乱を招き、極右派メンツェン氏との連携を加速させる動きが出てくる」(オーストリア国営放送=ORF)という。

ラファウ・トシャスコフスキ氏インスタグラムより
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。