maroke/iStock

上司の大好きな言葉に「無礼講」というものがあります。月末の〆、半期の〆、決算の〆など、名称は会社によって異なりますが、社員の活動を労うための慰労会が開催されます。この場を上手に活用すれば、職場の絆を深める素晴らしい機会になります。

無礼講の本来の意味とは

無礼講とは「形式ばらない」という意味であり、「何をしても良い」という意味ではありません。むしろ、普段より相手を思いやる気持ちが大切になる場面です。

<優れた上司の例>

製造業D社の生産管理部長である山田さん(仮名)の例をご紹介しましょう。山田部長は全員と話をします。「今期も大変だったね。○○の案件、よく頑張ってくれたね」と具体的に労いの言葉をかけます。カラオケでは率先して盛り上げ役を買って出て、部下が歌いやすい雰囲気を作ります。こうした姿勢が評価され、同部署の離職率は社内最低を維持しています。

IT企業E社の開発部マネージャー、佐藤さん(仮名)は別のアプローチを取っています。お酒を飲まないメンバーが多いことを考慮し、ボードゲームカフェでの懇親会を企画しました。全員が平等に楽しめる場を作ることで、普段は見られないメンバーの一面を発見する機会となり、チームの結束力が格段に向上したそうです。

<賢明な部下の振る舞い>

金融業F社で優秀な部下として評価される鈴木さんは「無礼講」と言われても基本的な礼儀は保ちます。上司より先に箸をつけない、グラスが空になったら注ぐ、といった気遣いは欠かしません。ただし、それを堅苦しくせず、自然な会話の中で行うのが特徴です。上司の話に真摯に耳を傾けながらも、適度に自分の意見も述べ、建設的な対話を心がけています。

<業界別の特徴>

金融・商社・製造業などでは、席順や乾杯の順序など、形式を重視する傾向があります。上座・下座の概念が残っている場合も多く、基本的なマナーを押さえつつ、場の雰囲気を読むことが大切です。