誰しも「幸せでありたい」と願うものです。
ところが幸福を追求しすぎると逆効果になる場合があります。
オーストラリア・フェデレーション大学(University of Ballarat)に所属する心理学者アンシュリー・ハンフリー氏ら研究チームは、「常に幸せを感じていなければならない」「ネガティブな感情をもってはならない」という非現実的なプレッシャーが、当人を苦しめると発表しました。
研究の詳細は、2021年3月8日付の学術誌『Journal of Positive Psychology』に掲載されています。
目次
- 「幸福度=人生の価値」なのか?
- ネガティブな感情を認める人の幸福度は高い
「幸福度=人生の価値」なのか?

世の中では「幸福度が人生の価値を決める」という考えが広まっています。
そのため、ある人々は「今、自分が幸せかどうか過度に気にする」傾向にあります。
自分の幸福度を絶えず評価するため、結果的に「幸せでなければならない」という強迫観念に追い込まれてしまうのです。
幸福を求めすぎるがゆえに、幸福でなくなっています。
では幸福を求めること自体が問題なのでしょうか?
そうではありません。いくつかの研究では、「その場で幸福を得ようとするのではなく、将来の幸福を求めて最善の行動を起こしている人は、ポジティブで人生の満足度が高い」という結果が出ています。
つまり、「今幸せか気にする人」よりも「将来の幸せのために、今頑張る人」の方が幸せなのです。
研究チームは、この2つのグループがもつ考え方をいくつか比較し、「幸せを求めているのに不幸になってしまう原因」を見つけようとしました。
ネガティブな感情を認める人の幸福度は高い
アメリカの参加者500人の価値観や考えを調査した結果、幸福度が人生の価値を決めると考える人は、ネガティブな感情を抱くことを避ける傾向にあると分かりました。