アルコールが入っていないだけで、味はビールそのものです。この結果は納得ですね、

このアサヒゼロ、私は1987年に登場した「スーパードライ」に匹敵するレベルのイノベーションになり得ると思います。

スーパードライ登場前、ビール業界ではこんな常識がありました。

「消費者はビールの味はわからないし、保守的で新しい味は受け付けない。だから味は他社と同じでいい。味を変えると売上は落ちる」

こんな時期、アサヒはあえてビールの味を変えたのです。

「消費者は飲み飽きないビールを求めている」と考えて、スーパードライを開発。最初のターゲットとして、ビールをガブ飲みする「ビール通」を選び、販売当初は TV CMでこんなメッセージを出しました。

「新しいビール通はこの味を選んだ。アサヒ スーパードライ」

これがスーパードライ大躍進の始まりでした。

このように従来のビールの成功法則は、国内成人9000万人のうち、よくお酒を飲む2000万人にアピールすることでした。

これから40年近くが経った現代、市場は変わりました。

ビールを飲まない層が増えています。私などはまさに典型です。

アサヒは「お酒を飲まない、飲めない層」は5000万人と推計しています。「よくビールを飲む」2000万人の市場よりも、はるかに大きいのです。

一方で、「ノンアル・ビールはまずい」というのがビール業界の常識でした。

この市場で、アサヒは「本物のビールのような飲み応えのノンアルビール」と言う価値を提供して、ビール市場を変えつつあるのです。

「ビールは好きだけど、アルコールが入ってるから飲めない」と言う隠れた不満を持つ人たちを開拓しているわけです。

加えて「お酒は飲めるけど、仕事などがあるから飲めない」という人もターゲットになり得ます。

これはまさに新しい市場の創造です。

まさに今、スーパードライ以来のイノベーションがビール業界では生まれつつあるのです。