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部下に任せることに不安を抱く上司が存在します。リーダー層では、部下に任せるより自分がやったほうが早いし失敗もないと、「何でも自分でやってしまう病」が蔓延しているのです。
「効率アップ! チーム力アップ! モチベーションアップ! リーダーの任せる技術」(岡本文宏 著)あさ出版
任せることが苦手な人の特徴
任せることが得意で、スムーズに仕事を振っていくリーダーがいる一方で、上手く仕事を任せられない人もいます。セミナーや研修会場でアンケートを取ると、後者の方が圧倒的多数派です。仕事を任せることが苦手な人には共通する特徴があると著者はいいます。
<自分だけが常に忙しく働いている>
著者はかつての経験を思い出し次のように回想します。
「店長だけが一生懸命に接客をしたり、商品管理をするなどして、忙しく動き回っているけれど、部下はボーッと店頭で立っているか、何人かで固まっている店舗がありました。店長はいつも辛そうな顔をして、疲れているという印象でした」(著者)
「スタッフに、その状況についてどう思っているのかを尋ねたところ、『店長が一人で何でもやってしまうので、やることがない』『自分が手伝ってよいのかどうか分からない』と口々に言っていました」(同)
自分だけが一人で忙しい状況になっているのは、「部下が何もしてくれないから」ではなく、原因は仕事を任せられない上司や経営者にある場合が少なくありません。
リーダーは部下に仕事を任せて、自分の仕事をする時間を確保しなければなりません。戦略をマネジメントする、人を育てる、現状を詳しく把握する、ヴィジョンを描き組織全体で共有する、部下とコミュニケーションをしっかり取るなど多岐にわたります。
本来はじっくり腰を据えて、時間をかけて取り組む必要があることばかりです。しかし、部下に仕事を任せられなければ、それらに着手できません。結果として、組織の舵取りが上手くいかず、思ったような結果を出すこともできないでしょう。