SNSのフィードバックは、そうした脆さを一時的に補ってくれる“擬似的な安全装置”として機能します。
しかし、それは根本的な問題を解決するものではなく、あくまで「その場しのぎの鎮痛剤」のようなものです。
「もっと見てほしい」「もっと認められたい」と求めるうちに、SNSへの接続はどんどん強化されていきます。
これがナルシシズムとSNS依存症の実態です。

さらに興味深いのは、SNS依存とナルシシズムが双方向に影響し合っているという点でした。
研究では「称賛」「対抗」「英雄性」タイプのナルシシズムが、SNS依存によって弱まる傾向が見られました。
つまり、「いいね」に翻弄されて疲れ果てた結果、自分を高く見せようとする力が一時的に衰えていたようなのです。
一方で「敵意」や「孤立」タイプのナルシシズムは、SNS依存と並行して増大する傾向がありました。
これは自分が認められないことへの苛立ちや孤立感がSNSで増幅され、他人との距離や敵意が強まっていくことを示唆しています。
このような結果から、SNSは単なる情報ツールではなく、自己像や人間関係を大きく左右する心理的空間であることが明らかになりました。
ナルシシズム傾向の強い人は、自分のタイプの理解しながら、SNSとの付き合い方に注意すべきかもしれません。
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参考文献
Narcissists are more likely to become addicted to social networking sites
https://www.psypost.org/narcissists-are-more-likely-to-become-addicted-to-social-networking-sites/
元論文
A longitudinal study on the reciprocal relationship between narcissism and social Networking Sites addiction
https://doi.org/10.1016/j.jrp.2024.104566