この研究は、人間関係において信頼が重要な場面では、自分の出自をどう見せるかが「戦略的」になる可能性を示唆しています。

「たとえば、ずっと裕福な家庭で育ってきた人は、その背景を強調するより、今どういう人間かにフォーカスしたほうがいいかもしれません。

一方で、経済的に苦労して育った人は、その“謙虚なルーツ”をあえて明かすことがプラスに働く可能性があります」と同氏は述べています。

なおローリン氏は、今回の研究が「低所得者出身の人を信頼しやすい」という傾向を示した一方で、「その人たちが本当に信頼できるかどうか」までは調べていないと注意を促します。

「私たちは、子ども時代や現在の階級が、その人の実際の行動にどう影響するかまでは調べていません」と彼女は話します。

「これは今後の研究課題です。特に、信頼が誤って寄せられる場合や、逆に本来信頼されるべき人が見過ごされる状況を明らかにするために必要です」

実際に、貧乏育ちの人が本当に信頼できて、お金持ち育ちが信頼できないとは限りません。

しかし他者から信頼を得たいなら、小さい頃は貧乏だった人はそれを不自然にならない範囲でアピールし、お金持ち育ちの場合は隠しておいた方がいいのかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Why we trust people who grew up with less
https://phys.org/news/2025-05-people-grew.html

元論文

Trust and Trust Funds: How Others’ Childhood and Current Social Class Context Influence Trust Behavior and Expectations
https://doi.org/10.1037/pspi0000497

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。