物事の規則性やパターンを見抜く能力は「統計的学習」と呼ばれます。

例えば脳トレで、簡単な数式の羅列があり、その最後の数式の空白部分に当てはまる数字を答えるクイズがありますよね。

あれは数式の羅列からパターンを見つけ出すために統計的学習を使っています。

「そのクイズ、めっちゃ得意!」という方もたくさんいるでしょうが、しかし逆にそうした人は複雑な計画を立てたり、柔軟な意思決定をするのに苦労しているかもしれません。

フランス国立衛生医学研究所(INSERM)の2024年の研究は、脳機能における「統計的学習」と「実行機能」の間に負の関係が働いていることを発見しました。

統計的学習が得意な人は実行機能が低く、反対に実行機能に優れている人は統計的学習が苦手なようです。

研究の詳細は2024年4月12日付で学術誌『npj Science of Learning』に掲載されています。

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  • IQパズルが得意な人は状況判断が苦手?

IQパズルが得意な人は状況判断が苦手?

パターンを見つけるパズル問題の例
パターンを見つけるパズル問題の例 / Credit:The Jerusalem Post,MAARIV

チームは今回の研究の動機として、脳内の異なる認知システムがどのように相互作用しているのかを理解したいと考えました。

そこで焦点を当てられたのが「統計的学習」「実行機能」の2つです。

統計的学習は、個人が物事のパターンや規則性を見出し、それをもとに適切な行動を選び取る認知スキルを指します。

これは日常生活のあらゆるシーンで使われており、例えば、職場で先輩や上司の行動を観察し、どういう場合にどういう対応が適切なのかを理解したり、文章中の知らない単語に出くわすと、その前後の文脈から意味を推測したりするのに活用されています。

上に挙げたような数字を埋めるパズル問題などもそうです。

このように統計的学習は、目の前の対象からデータを収集し、そのパターンを認識するという点で機械的な思考に似ています。

統計的学習は機械的な考え方をする
統計的学習は機械的な考え方をする / Credit: canva