非常に高い耐久性を持つ「クマムシ」は、過酷な環境でも生き延びることができます。

「最強の生物」とも呼ばれる彼らは、これまでに様々な実験で、その異常な生命力を示してきました。

その中の1つの例として有名なのは、「クマムシは人の致死量の約1000倍の放射線に耐えられる」というものです。

しかしなぜ、クマムシは生物にとっては致命的な放射線に耐えるなんてことができるのでしょうか?

アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校(UNC)に所属するボブ・ゴールドスタイン氏らの2024年の研究は、クマムシは、放射線によるDNA損傷を受けると、DNA修復遺伝子を増幅させて、急速にDNAを修復していたことを発見。

この「驚異の修復能力」こそが、クマムシの驚異の放射線耐性の理由のようです。

研究の詳細は、2024年4月12日付の科学誌『Current Biology』に掲載されました。

目次

  • 最強生物クマムシは「人間の致死量の1000倍の放射線」を浴びても生き延びる
  • クマムシは驚異的な回復力により大量の放射線にも耐える

最強生物クマムシは「人間の致死量の1000倍の放射線」を浴びても生き延びる

クマムシの一種「オニクマムシ」
クマムシの一種「オニクマムシ」 / Credit:Wikipedia Commons_クマムシ

クマムシ(学名:Tardigrade)とは、緩歩動物門に属する生物の総称であり、肉眼では確認しにくいほど微小(体長50μmから1.7mm)な動物です。

海洋・陸水・陸上のありとあらゆる環境に生息することで知られており、1000種以上が確認されています。

そして、このクマムシは、ほとんどの生物が耐えられない過酷な環境でも生き延びる「最強生物」として有名です。

例えば、絶対零度に近い-272℃から水の沸点を上回る150℃までの温度でも生き延びることができます。

また宇宙空間で10日間生き延び、マリアナ海溝の底の1000気圧にも耐えることが可能です。