AIも今あるネット情報みたいなものがなくなると困る
三宅氏によれば、AI検索が広がることでネット検索が不要になるという単純な話ではないという。
「前述のとおりAIは既存の学習したデータと多数のリンク先の情報をまとめて結果を返しているので、リンク先がなくなると特に最新の情報源がなくなってしまいます。旅行先の情報を検索した際に、AIが5年前に出版された情報誌の情報を引っ張ってきたりするようになると困りますし、人間が常にネット上の情報をアップデートしていく必要があるわけです。最近のAIは情報源のリンク先をリスト化して表示してくれますが、それが古いサイトや不正確な情報のサイトばかりだと古い情報のまとめになってしまいます。
もちろんAIは最先端の情報を集めるようにはなっていますが、そもそも最先端の情報が存在しなければ、嘘の情報を回答してしまうことにつながります。Wikipediaにも誤情報が含まれますが、複数の人間の目に触れるこで徐々に是正されていきます。しかしAI検索はそういうわけにはいきません。取得した情報の相互関係から最も確からしい情報を選別はしますが、参照するリンク先が古いままだとAI検索が収集する情報もどんどん古くなっいきます。
そう考えると、SEO対策が全滅するということは、まずあり得ないと思います。全滅したらAIのほうも精度が落ちてしまいます。通常のWEBの情報は、その発信元の信頼度に応じて人間は情報の確からしさを判定しています。『公式が言っているから方法のはずだ』という言説は非常に多く聴くことがあるでしょう。また情報提供側も、公式サイトから出すことで、きちんとユーザーに届くという信頼関係があります。ネット検索に対してAI検索の比率が高まってくれば、企業がSEO対策にかけるコストが減るかもしれませんが、すぐに大きな変化が生じるということは考えにくいですし、変化があった場合も揺り戻しはあるでしょう。あるいはAI検索に対して企業が自社の情報の優先度を上げるような仕組みを作るという、SEO対策の次のレベルの対策の仕方が考案されるかもしれません。」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=三宅陽一郎/AI開発者、東京大学生産技術研究所特任教授)
提供元・Business Journal
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