なぜ人は、体の特定の部位――とくに胸に、これほどまで強い性的関心を抱くのでしょうか? これは非常に深遠な哲学的思索です。
この疑問には、これまでさまざまな説が唱えられて来ましたが、主に2種類の解釈が中心になっています。
それはいわゆる本能だという生物学的な解釈と、人間社会が価値を感じるよう誘導しているという文化的影響による解釈です。
そこでポーランドのヴロツワフ大学(University of Wrocław)の心理学研究チームは、胸を出して生活するのが当たり前の部族の男性が、女性の胸に性的興奮を感じるのか? ということを調査してみることにしました。
もしも胸が常に見えている社会で育った人でも、やはり胸に性的魅力を感じるとしたら、その魅力の根源は、文化ではなく人間の本能にある可能性が高くなります。
一体、調査の結果はどうなったのでしょうか?
研究成果は2025年3月24日、性科学分野の国際学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載されました。
目次
- なぜ男性はおっぱいが好きなのか?
- 性的興奮の“源泉”は文化か、それとも本能か?
なぜ男性はおっぱいが好きなのか?
これまでの心理学研究では、女性の胸が性的対象として扱われる背景には「文化的に誘導されている」という考え方がありました。
この考えでは、胸は日常的に隠されている部位であり、みだりに見せるものではないという社会的な規範が、視覚的レアリティ(希少性)を高めており、それが女性の胸を魅力的に感じさせていると説明しています。
さらにメディアが「胸は性的に魅力的だ」というメッセージを繰り返しているため、多くの人が胸を性的対象として認識してしまっているというのです。
一方で、胸の形状やサイズ、対称性といった要素が、進化的に「若さ」や「出産能力」といったシグナルになっており、本能的に男性が反応するように出来ているという生物学的な見方も根強く存在します。