しかし、2014年ごろからは、「自分のほうが立場が上である」と示すときの言動を表す用途で「マウンティング」が使われることが多くなってきたといいます。
もっと前からマウンティング自体はあったはずですが、皮肉同様、会話のマウンティングはあまり直接的に表現されないことが多く、明確に現象として認識され、深く研究されることがなかったようです。
例えば、既婚女性と未婚女性の友達同士で会話をしていて「休日は夫と子どもがいて大変!全然遊びに行けないよ。でも子どもの笑顔を見てると疲れが吹き飛んじゃう」、「やっぱ結婚って大変そうね。私はまだまだ1人で楽しく暮らしたいな」というやり取りがあった場合、これはマウンティングに当たるでしょうか?
この発言は客観的には自分に起きていることを報告しているだけで、マウンティングをしていないようにも見えます。しかし、言外の部分で自分の有意性を主張し合っていて、バチバチと見えない火花が飛んでいるシーンと受け取ることもできるでしょう。
実際にマウンティングは、非常に分かりづらい表現をされることが多く、会話をしている当事者同士でさえも、マウンティングをしている・されているという感覚を自覚していない場合があります。
しかし、「自慢をしたい、羨ましいと思われたい」という気持ちで、自分の現況を話す人はいますし、それを敏感に察知して不快に思う人がいることも事実です。
つまり会話でマウンティングが起きるかどうかは、会話相手の敏感さが関係しています。
そして同大学の研究によると、このマウンティングは女性同士のほうが起こりやすいというのです。
マウンティングの定義
お茶の水女子大学では、マウンティングには以下の4つの特徴があると指摘しています。
- 初対面やその場限りの関係ではなく、すでに関係性が築かれている者同士で起こる
- 一方が一方に対して「立場が上」であることを暗に示している
- マウンティングされたほうは不快に感じる
- マウンティングをするほうは一見加害しているようには見えない、もしくは実際に加害意識がない