世襲の問題として、非世襲に比べ「知名度で有利になる」、「親の政治資金を継げる」、「親の後援会組織をフルに使える」ので、非世襲で立候補する人にとっては、高い参入障壁になる。さらに「世襲議員は似たような家庭、経済環境で育ち、多元的な価値観が政界に持ち込まれない」ことも問題です。
経済界、官界、学界、文化関係などに比べ、自民党政界は特異な閉鎖的、家業化した世界です。このことが凡庸な政治家でも出世でき、凡庸な閣僚が次々に起用され、日本の政治が劣化する大きな原因になっています。岸田・前首相当時、自分の総理秘書官に、議員でもない自分の息子を疑問にも思わず起用し、ひんしゅくを買いました。一般の人たちと世襲の人たちの感覚の違いが分かりました。
「親と同一選挙区からは立候補できないようにする」、「政治資金の承継に規制をかける」、「政界に新しい風を吹き込めるよう、多様な人材が参入できる道を開く」などが必要です。そうはいっても、世襲議員は既得権益を持ち、首相、閣僚、党幹部になるほど世襲議員が多く、自ら政治改革を進めようとしません。政権交代があれば、世襲規制のいいチャンスとなります。
夏の参院選に向けた世論調査(読売新聞、5月19日付)によると、「自公政権が過半数を維持するのがよいと思いますかー思う39%、思わない50%」、「自民中心の政権の継続の望みますかー望む36%、野党中心の政権に交代がよいー48%」、「石破内閣を支持する31%、支持しない56%」となりました。ネット戦略を駆使する政党、政治家も増えており、ネット世代が政治を大きく変える可能性が高まっています。
この流れのままなら、自公大敗、政権交代の実現がありえます。そうなった場合、新政権は目先の選挙対策の大衆迎合的なポピュリズムを避ける。トランプ氏のような強権的、独裁的な政治トップが各国で台頭している政治環境の中で、日本の国際的地位をどう確保していくかという高い次元の政治が求められます。