Llamaの進化は、オーバースペックか?ゲームチェンジャーか?
気になるのが、今後Llama 4の活用が期待される分野だ。
「まず考えられるのは、企業内での利用です。特に、セキュリティ上の理由から社外に情報を持ち出すことができないような機密情報や顧客データなどを扱う業務。自社環境内にLlama 4を導入し、活用するケースは増えるのではないでしょうか。
具体的には、社内の膨大なドキュメントや過去の事例を学習させ、問い合わせ対応や資料作成、意思決定支援などに役立てることが考えられます。ほかにも、社内の規定、マニュアル、過去の議事録などを全てLlama 4に読み込ませ、それに基づいて社員からの質問に答えたり、必要な情報を提示したりするシステムを作る企業が出てもおかしくありません」
このような活用方法は他のモデルでも実現可能だが、Llama 4のオープンソース性、そして持つ巨大なコンテキストサイズや処理能力は、より高度で正確な応答を可能にする。
「Llama 4の卓越したスペックを最大限に活かせる分野としては、例えば、膨大な量の判例や法律文書を瞬時に分析する必要がある法曹界、複雑な金融商品を多角的に評価する金融業界、あるいは大量の学術論文や研究データを解析し新たな知見を求める研究開発分野などが考えられます」
逆に言えば、一般的な用途においては、Llama 4の性能はオーバースペック気味になる可能性も否定できない。川崎氏も「実際にLlama 4を導入し、活用するにはいくつかのハードルも存在します」と釘を刺す。
「その一つが、計算資源の確保です。Llama 4のような大規模モデルを快適に動作させるためには、非常に高性能なコンピューターが必要となります。例えば、一般的なMacBook Proのような消費者向けのマシンでは到底太刀打ちできず、それよりもはるかに高性能な、専門的なハードウェア環境を用意しなければなりません」
例えるなら、AIという“非常に優秀な専門家”を雇うことはできても、その専門家が働くための“高度な設備や研究室”を用意する必要がある、といったイメージに近いかもしれない。人件費は抑えられても、設備投資は依然として必要になるのだ。