そして彼らにシステインを完全に除いた餌を与え、システインを完全にカットしました。

では、このマウスにはどんな影響が及んだでしょうか。

システインを完全に断ったマウスは1週間で体重が30%減る

実験の結果、システインを完全に断ったマウスは、たった1週間で体重が平均30%も減少しました。

では、なぜ「システイン」がそれほどまでに体重に大きな影響を与えるのでしょうか?

それは、前述したように、システインが体内のエネルギー管理の要だからです。

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システインを体内で作れなくなったマウスにシステインを含まないエサを与え突けた結果、1週間で体重が30%減少 / Credit:Canva, ナゾロジー編集

システインが不足すると、マウスは炭水化物からエネルギーを得ることができなくなりました。

そして代わりに自身に蓄積された脂肪からエネルギーを得るようになったのです。

結果として、このマウスの体は猛烈な勢いで脂肪を燃やし、体重が急激に落ちていきました。

加えて注目すべきなのは、この体重減少が可逆的だったという点です。

元の餌に戻すと、マウスは2日以内に減少した体重の3分の2を取り戻し、4日以内には完全に元に戻りました。

そして、またシステイン無しの食事に変更すると、体重減少は再開されました。

研究チームは、この結果について、「システイン欠乏によって引き起こされる体重減少は、悪影響のない高い可逆性をもつかもしれない」と述べています。

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この研究が人間のダイエットに応用できるかどうかは、まだ分からない / Credit:Canva

この研究は、アミノ酸の制限が代謝にどのように影響するかを探る上で、極めて革新的な一歩と言えます。

とはいえ、これが私たちのダイエットに役立つかどうかはまだ分かりません。

今回の実験はマウスを対象としたものであり、人間への応用は未検証です。

しかも、システインを除いた食事が長期的に安全かどうかは、まだ分かっていません。