こうした現状を打破するために開発されたのが、AIモデル「Aurora」です。

画像
天気予報AI「Aurora」が開発される / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

Auroraはまず、気象衛星、レーダー、地上観測所、既存のシミュレーションや予報データから得られた、合計100万時間以上にも及ぶ気象データを使って、一般的な天気パターンの学習を行います。

Microsoftによれば、これはAI気象モデルの学習に使われたデータとしては過去最大規模です。

この段階でAuroraは、わずか数秒で天気を予測する能力を獲得。

その後、波の高さや大気汚染などの特定分野に合わせて少量のデータで微調整を施すことで、さまざまな用途に対応できるようになりるのです。

では、このAuroraは自分の性能に関してどんな結果を残してきたでしょうか。

従来の天気予報モデルを超えた!天気予報AI「Aurora」の性能とは

Auroraの最大の特徴は、複数の気象・環境分野において、既存の最先端予測システムを超える性能を発揮している点です。

研究者らは、Auroraが約10平方キロメートル規模での10日間の世界予報において、92%のケースでヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の従来のモデルを上回ったと報告しています。

またAuroraは、台風の進路予測でも驚異的な精度を示しました。

2022~2023年における台風の5日間の進路の予測において、Auroraは世界の主要予報センター7つの公式予報を平均で上回り、誤差を最大25%も修正したのです。

画像
台風の進路に関して、AIが公式予報を上回る / Credit: Microsoft

特に、2023年の台風「Doksuri 」では、Auroraが4日前の時点で正確にフィリピン上陸を予測したのに対し、複数の予報機関は台湾沖への進路を想定していました。