「天気予報を見て週末の予定を立てたのに、雨が降ってがっかりした」
そんな経験が一度はあるのではないでしょうか。
私たちが普段利用している天気予報は非常に精密で信頼性が高いですが、それでも外れることはあります。
特に、数日先の予報になると、その誤差は少しずつ大きくなっていきます。
しかし今、その限界を超えようとする驚異のAIモデルが登場しました。
その名は「Aurora(オーロラ)」。
このAIは、Microsoft Researchが開発したもので、これまでの気象予測の常識を覆すような成果を上げています。
Auroraは気象予報だけでなく、大気汚染や海洋波、台風の進路予測までも一つのモデルで実現しており、既存の世界的な予報センターの予測精度を大きく上回ったのです。
この研究成果は、2025年5月21日付で科学誌『Nature』に掲載されました。
目次
- 天気予報AI「Aurora」が開発される
- 従来の天気予報モデルを超えた!天気予報AI「Aurora」の性能とは
天気予報AI「Aurora」が開発される
現在の気象予報の多くは、「数値予報モデル(NWP)」と呼ばれる、物理法則に基づいたコンピュータシミュレーションに依存しています。
例えば、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)が運用するIFS(Integrated Forecasting System)では、大気を格子状に分割し、気温や気圧、湿度、風速などの初期値を用いて、時間ごとの変化を計算しています。

こうした数値モデルは非常に高精度ですが、同時に非常にコストがかかる方法でもあります。
膨大な計算量を処理するためにスーパーコンピュータが必要です。
さらに、大気汚染や海洋波、台風の進路といった個別の課題に対しては、それぞれに特化した別のモデルが必要とされる場合もあり、開発や運用には大規模なチームと資金が必要です。