発見された場所から、英名で「カーナーヴォン・フラップジャック・オクトパス」と呼ばれているこの新種は、ゼラチン質で柔らかい深海性の小型タコで、体の直径は約4センチに成長しますが、その生態や生活様式についてはほとんどわかっていません。
このタコはまさに「変幻自在の深海生物」であり、体を平たく伸ばしてパンケーキのような形になったり、逆に傘のように丸まった姿にもなれます。
また、体の大きさに比して非常に大きな目を持っており、光の乏しい深海で獲物を見つける能力に優れていると考えられます。
主にゴカイや小型甲殻類を食べ、触腕を使ってそれらを捕まえて食べているようです。
新種を見つけることの難しさ
研究主任の一人であるトリスタン・ヴァーホフ(Tristan Verhoeff)氏はこう語ります。
「新種を記載することは非常にワクワクする仕事ですが、同時に正確性が求められる重責でもあります。
比較用の資料を調べたり、古い文献を検証したりと、時間のかかる作業なのです。私がこれまで記載した新種の多くは、何十年も博物館や標本庫に眠っていたものです」
「今回の発見は、オーストラリアの深海生態系や生物多様性への理解を深める一助となります。新種の記載は、その生態研究や保全対象種としての評価にとっても不可欠です」

また同チームのリサ・カークンデール(Lisa Kirkendale)氏は次のように述べました。
「このような新種の海洋生物が発見されることは、この地域の深海について私たちがいかに知らないかを改めて示しています。
深海はまさに海洋生物多様性研究の“フロンティア”であり、今後もその挑戦に取り組んでいきます」
研究チームは同海域での深海調査を継続する予定で、今後もさらなる未知の生物たちが見つかることが期待されています。