黒坂岳央です。

「自慢話や武勇伝は聞く側がうざいと感じるので、なるべくしない方がいい」と言われる。これ自体は確かにそうで、普通は自慢話を聞かされて楽しいとは思わない。

しかし、最近この感覚が変わった。自慢話は相手の心の本音が全開になり、相手を深く理解するチャンスだと前向きに捉えている。

結論から言えば、自慢話の大半は劣等感に化粧を施す行為である。裏返せば、そこには本人が大切にしている価値観や満たされない欲求が透けて見える。ここを読み解けるか否かで、コミュニケーションの質とビジネスの成果は大きく変わる。

その根拠を取り上げたい。

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人が自慢話をする動機

人は苦労して得たものほど価値を高く見積もる。行動経済学では「努力正当化」、心理学では「補償行動」と呼ばれる現象で、これ自体はよくあることだ。

たとえば普段まったく勉強しない人が休日に3時間、自主的に勉強すれば、それだけで達成感があり周囲に自慢したくなる。一方で進学校出身者は勉強時間を誇らない。「勉強は本来、自分のためにするもの。必要に応じて長時間学習なんてやって当たり前」という世界観で生きているからだ。

同様にお金にコンプレックスがある人ほど高級ブランドを誇るし、お金に困った経験がない人はわざわざ無用なリスクを呼び込むお金持ち自慢なんてしない。シンプルにデメリットしかないからだ。

以上のように自慢話とは「自分はこれに価値を感じている」「ここを誰かに認めてほしい」という深層心理の現れなのである。

自慢話はコンプレックスの自己紹介

具体的に例を出そう。筆者の記事や動画にはコメントが付く。できるだけつけてくれたコメントには返すようにしているのだが、不快な絡みには無反応かブロックで対処している。

無視していると「論破した!」と相手から喜ばれる場合がある。こうした反応を見るに、相当に知的な劣等感の持ち主という解釈が可能だろう。