この成果は食品科学や認知神経科学の分野でも注目されており、今後は認知症予防への応用や学習・作業効率の向上、さらにはスポーツにおけるパフォーマンス最適化など、様々な展開が期待されています。

例えば、高齢者が「美味しい」と感じる食事を積極的に楽しむことで脳を刺激し、認知症のリスク低減につなげる試みが考えられます。

また、子どもや学生が勉強前に少量の好物を食べて集中力を高める工夫や、スポーツ選手が試合前に好きな食べ物でモチベーションを上げるメンタルトレーニングなど、応用の方向性は幅広く期待できるでしょう。

実際、冷凍食品メーカーとの産学連携により、日常食で脳機能を高めるといった「おいしい×脳」の新しいアプローチが今後進むかもしれません。

では、この知見は私たちの生活にどう活かせるでしょうか。

例えば、午後の仕事や勉強で集中したいときには、単に空腹を満たすだけでなく「おいしい!」と感じられる昼食やおやつを選んでみるのも一策です。

美味しい食事で気分が上がれば、脳のスイッチが入り集中力が高まることが今回の結果から示唆されます。

好きな食べ物で脳を目覚めさせて、その後のパフォーマンス向上につなげてみてはいかがでしょうか。

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参考文献

「美味しさ」が脳を覚醒させる!
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1264

元論文

Brain activity during a cognitive task after consuming food of varying palatability
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1522812

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。