トヨタが自前でロボットタクシーのような事業を手掛けていくのかは未知数
では、トヨタがウェイモと提携する真の目的は何か。
「トヨタが自前でロボットタクシー事業を手掛けていくのかどうかは、現段階ではまだわからない部分が大きいです。当面、トヨタはウェイモに車両を提供し、ウェイモが車両の運行を手掛けるという形で、日本国内でのロボットタクシー事業を展開することを目指すと見ています。トヨタの車両で自動運転ソフトを動かすためには、ウェイモもトヨタ車の制御ソフトウェアのかなり深い内部にまで入り込んでいくことになります。
通常、自動車のソフトは外部からのハッキングを防ぐために通信が暗号化されていたりして外からコントロールできないようになっているので、トヨタがウェイモに対してある程度、技術情報を開示しないと自動運転ソフトで車を動かすことはできません。ただ、単なる車両の提供に加えて技術情報の開示にまで提携が発展するのかどうかは、まだ分かりません。
両者の発表では、新たな自動運転の車両プラットフォーム開発における協業を目指すということになっていますが、トヨタが自社でロボットタクシー事業に乗り出すのか、今後も車両の提供という協力にとどまるのか、まだ不明な点が多いです」
中国ではさらに踏み込んだ動きがみられるという。
「中国市場ではホンダ、日産、トヨタが中国のモメンタというベンチャー企業の自動運転技術を採用するという報道が出ています。中国では生成AIを使った高度な自動運転がすでに普及しており、都市部でも手放し運転できる車が増えています。日本の自動車メーカーはこれに対応する必要があり、中国のベンチャー企業の力を借りる必要があるわけです。ちなみに手放し運転可能とはいえ、完全な自動運転ではなく、一応は人間が運転中に状況を監視する必要がある、いわゆるLEVEL 2です。
中国では自動運転機能を搭載している自動車が当たり前になりつつありますが、この技術を自社開発できているのはBYD、ミオ、シャオペンといった新興EVメーカーに限られます。北京汽車や上海汽車、第一汽車といった伝統的な自動車メーカーは、いずれも自社で開発できていません。中国では自動車がコンピューターオリエンテッド、ソフトウェアオリエンテッドになっており、伝統的な自動車メーカーはソフト開発で遅れをとっている面もあり、ファーウェイなどの力を借りて対応しているというケースが多いです。こうした例と同様に、日本のメーカーはモメンタをパートナーとして選んだということではないでしょうか」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=鶴原吉郎/オートインサイト代表)
提供元・Business Journal
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