3月、お客に提供された味噌汁の中にネズミが混入するという事態が発生していたことを公表した大手牛丼チェーン「すき家」。同社は国内のほぼ全店舗を4日間にわたり一時休業して清掃を行い、24時間営業をやめて毎日午前3時からの1時間を清掃業務にあてるといった対策を実施するなど、衛生面での品質向上策を進めてきた。消費者の間で不安が広まったことも影響して4月の既存店の客数は前年同月比16ポイント減、売上高は約7ポイント減、全店売上高は約20ポイントとなったが、外食チェーン関係者はいう。
「影響は想定よりも軽微といえ、客離れというほどの現象は起きていない。あと半年もたてば客数も前年並みに回復するのでは。『すき家』の価値はなんといっても『安い価格でお腹いっぱい牛丼が食べられる』というところなので、既存顧客側も『トラブルが一定の確率で起こるのは仕方がない』と理解しているということではないか」
問題の発表から約2カ月が経過した今、すき家は再発防止に向けて、どのような取り組みを進めているのか。同社に取材した。
清掃作業を行いやすい厨房へと設計を見直し
すき家は、再発防止策としては、前述のものにくわえて以下の対策に取り組んでいる。
・商品提供前の目視確認を徹底。
・毎月、従業員に対する衛生教育を実施。
・四半期に一度、建物のクラックや隙間などの有無の点検および懸念箇所が確認された場合の修繕を実施。
・全店舗のゴミ庫を冷蔵化:
現在、害虫・害獣の誘引を防ぐため、全国1971店舗中約800店舗で廃棄物を保管するゴミ庫の冷蔵化が完了。残る店舗のうちショッピングセンター内などの店舗を除く1089店舗において、2025年中の冷蔵化完了を予定。
このほか、老朽化が進み害虫・害獣の侵入経路の根絶や継続的な店舗衛生状態の維持が難しいと判断した店舗に対し、順次計画的な改装を実施。厨房設計について、害虫・害獣が侵入・生息しづらく、かつ清掃作業を行いやすい厨房へと設計を見直し、新店及び改装店舗から順次新たな設計への変更を進めている。