1つは、病気や害虫による攻撃です。
単一品種が生産の大半を占めているということは、その品種を攻撃する「病気や害虫の影響を強く受ける」ということでもあります。
実際、1950年代までは「グロスミッチェル」と呼ばれる品種が世界的にも主流でしたが、病害によって壊滅したため、耐性があった現在のキャベンディッシュの栽培が始まったという経緯があります。
しかし生物の世界では、一方の耐性はもう一方の進化を促します。
2015年以降、グロスミッチェルを壊滅させたのと同じ病原菌が、キャベンディッシュの耐性を突破して病害をひろめつつあります。
そのためバナナ農家は代替品(3代目)を探しているとのこと。
もう1つの可能性は、顧客による投資です。
現在、フロリダにある熱帯教育センターでは、「あまり知られていない果物や野菜に対して、顧客がどれほど投資するか」といった点が調査されています。
そして見込みのある果物や野菜を対象に、小規模農家と協力して新たな供給ラインを構築しているとのこと。
実際にライムやアボカドでは新しい種の生産と販売が始まっているようです。
こうした団体の活動をサポートしたり、直接農場に新しい品種を注文したりするなら、顧客として投資していることになります。
また多くの人が、店先に並ぶキャベンディッシュ以外の品種に目を光らせて購入するなら、需要と供給が徐々に向上し、バナナの多様化に貢献できるでしょう。
現在、多くの人は1種類のバナナしか食べたことがありません。
しかし私たちが望めば、いつかは他のフルーツと同じように、バナナの多様化を楽しめるときが来るかもしれませんね。
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参考文献
Why Is There Just One Top Banana?
https://www.atlasobscura.com/articles/best-bananas
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。