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子どもの健康管理に対する関心はかつてないほど高まっています。特に共働き家庭では、子どもの体調不良は仕事と育児の両立に大きな影響を与えます。家庭での適切なケアが子どもの重症化を防ぎ、家族全体の生活の質を守る鍵となります。
「パパ・ママが自宅でできる 子どもの病気とはじめてのホームケア」総合法令出版 築紫 悠(著)、窪田 満(監修)
子どもの体は「小さな大人」ではない
子どもの身体は単に大人を小さくしたものではありません。特に免疫システムには大きな違いがあります。日本小児科学会の調査によれば、5歳未満の子どもは年間平均6〜8回の感染症にかかると報告されており、これは大人の約2倍の頻度です。
生後6ヵ月頃までの赤ちゃんは、母親から受け継いだ抗体と母乳によって守られています。この期間、赤ちゃんは日常的な接触を通じて徐々に免疫を獲得していきますが、母体由来の抗体は次第に減少し、6ヵ月を過ぎるとほぼ消失します。その後は、自らの経験を通じて免疫を構築していくのです。
この免疫システムの未熟さが、子どもの病気に二つの特徴をもたらします。一つは進行の速さです。大人が数日かけて症状が悪化する風邪でも、子どもは一晩で高熱に見舞われることがあります。もう一つは全身症状の出やすさです。局所的な感染でも、子どもは全身反応を示しやすいのです。
早期発見・早期対応の重要性
子どもの体調不良は進行が早い反面、ピークを過ぎると回復も早いという特徴があります。この特性を理解することで、効果的なホームケアが可能になります。
厚生労働省の調査では、小児の救急外来受診の約70%は家庭でのケアで対応可能だったとされています。しかし、適切な初期対応を怠ると、単純な風邪が肺炎や中耳炎などの合併症に発展するリスクが高まります。
特に重要なのは、親の観察眼です。「なんだかいつもと様子が違う」という微妙な変化に気づくことが、重症化を防ぐ第一歩となります。子どもは自分の体調を正確に伝えられないため、普段と異なる行動パターンや活動量の変化が重要なサインになるのです。