ネズミとその尻尾にも、似たことが当てはまります。
私たちは幼い頃から、ネズミを不衛生な嫌悪すべき存在として教育されてきました。
自分の家の中にネズミの一家が入り込んだとしたら、多くの人はゴキブリと同じように「駆除」を目指すでしょう。
そのためネズミの特徴である毛のない尻尾も、同時に嫌悪の対称となったと考えられます。
同様の「坊主憎けりゃ…」に関連する心理は、昆虫の触覚にも存在します。

たとえば上の図のように2種類の触覚がある場合、どっちの触覚が不人気になるでしょうか?
多くの人々にとって、左側の長い触覚は(たとえ体が描かれていなくても)ゴキブリを思い起こさせるため、不人気となります。
ネズミの尻尾は現代科学を支えている

あまり知られていませんが、生物学者にとってネズミの尻尾はとても重要なパーツとなっています。
毛がなく皮膚が剥き出しになった尻尾は動物実験をする上で非常に有用となるからです。
たとえば生物学の実験ではマウスやラットから採血したり、薬剤を投与する手順が数多く含まれていますが、そのどちらも尻尾の血管を通じて行われています。
DNAを調べるのに必要な血液も、がん細胞を打ち込むのも、ウイルス感染を起こすのにも、尻尾の血管を介して行われています。
またマウスの尾の皮膚細胞をもとにiPS細胞を作成し、精子や卵子をなどを作る実験も盛んに行われています。
そのため現代では、マウスやラットを使ったあらゆる実験は、彼らの尻尾を介した操作から無縁ではいられません。
マウス実験を行う研究室に入った学生たちが最初に教わる技術も、マウスの尻尾に注射する方法となっています。