取り返しのつかない変化が起きているかもしれません。
米国のテキサス大学オースティン校(UT)で行われた研究により、過去20年にわたる地下水のくみ上げが地球の質量バランスを崩したせいで、地球の回転軸(地軸)の傾きが変わり、極の位置に80cmものズレを起こしたことが判明しました。
また地下から汲み上げられた水が海に流れ込み、年間0.3mmの海面上昇を引き起こしていたことが示されました。
研究結果は人間の活動が地球全体に影響を与え、地軸の傾きすら変えていることを明らかにしています。
現在の傾きは地球環境に影響を及ぼすほどには至っていませんが、この傾きを元通りに修正するには、地下水をくみ上げた場所に元の重量の水を戻すしかなく、事実上変化は永続的なものとなります。
研究内容の詳細は2023年6月15日に『Geophysical Research Letters』にて公開されました。
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- 地下水汲み上げが地球の傾きを変えていたと判明!
地下水汲み上げが地球の傾きを変えていたと判明!

私たちの地球は太陽の周りをおよそ23.4度傾いた状態で回っています。
この傾きがどんな理由で決まったか正確な理由は謎ですが、傾いた回転軸(地軸)のお陰で地球には四季がうまれ、多様な生態系の維持に役立っています。
ただ地球は正確な球体ではないため、地軸はおよそ10mの幅でぐらつきを起こします。
ぐらつきを起こす要因は主に地球内部の鉄でできたコアの振動や、氷の融解、海流の変化、さらには台風など、地球で起こる質量の移動となっています。
しかし地軸のぐらつかせる質量移動の中には年単位の周期的なものだけでなく、取り返しのつかない変化も含まれています。
たとえば温暖化によってグリーンランドや南極の氷の融解が起きた場合、地球を冷やさない限り、一度動いてしまった質量を元の状態に戻すことはできません。