次に起業の難しさがあります。日本の場合、人の物まねが酷すぎるのでどれだけユニークな商品を開発しても瞬く間にそれを真似され、ブルーオーシャンを突き進むことはほぼ不可能です。また、ニッチビジネスが少ないとも言われます。ニッチ、つまり隙間という意味で誰もやっていないビジネスがほかの国に比べて少なく、隙間がほとんどないというわけです。私から見れば隙間はいくらでもあるのですが、日本人の感性や常識観、銀行など投融資の枠組みを考えると広がりがないという方が正解だと思います。
日経の同記事に日本では子が親の所得を超える確率は1940年代生まれなら9割超だったのが1980年代生まれなら6割を切る、とあります。このトリックの理由の一つは起業のたやすさ、物価上昇、また投資や貯蓄性向にあると想像しています。また世の中がどんどん複雑化しており、起業するコストが上昇すると同時に競争激化の中で知恵を絞り切らないと成功しないわけで、より厳しいビジネス環境の変化もあるでしょう。
またSNSによるインフルエンサーが増えると一般大衆の目線が一定方向に偏りやすくなり、地味だけど着実に稼げるようなビジネスが放置されたりします。つまり親は汗を流すが、子はいかに格好よく仕事をするかとも言えます。例えて言えば親の時代は機械油まみれの作業着、子の時代はパリッとしたスーツに入館アクセス証を首からぶら下げることで一流の気分になる感じでしょうか?
こうなると収入というより価値観の問題です。親の時代は青天井の収入を目指していたけれど子の時代は「このぐらいでよい」という適度な高さの天井が意識され、その代わり自分や家族をもっと大事にするというバランス感覚が強くなっていきます。
グレートギャツビーの小説は3-4回読んでいますが、私の感想は自己表現の選択肢が少ない時代の中、その自己実現、特に人の心をお金で買い取ろうしたと強く感じました。現代ではなかなか理解しにくい世情の背景もあり、今更ギャツビーかな、という気はします。