
ペドロ・サンチェス首相インスタグラムより
サンチェス首相の葬儀欠席は、夫人の起訴と公判が影響か
スペインのサンチェス首相がフランシスコ教皇の葬儀を欠席したことに対し、在バチカンのスペイン大使(2006~2011年)を務め、サンチェス首相と同じ政党の幹部でもあったフランシスコ・バスケス氏は「最大の政治的誤審だ」と痛烈に批判した。
同様に、野党・国民党の党首アルベルト・ヌニェス・フェイホー氏も「(欠席の)理由を説明するのが難しいほど礼儀に欠ける行為だ」と述べた。スペインはイタリアと並び、カトリックの影響が非常に強い国である。その国家元首であるサンチェス首相が、理由の説明もなく葬儀に欠席したことは、多くの国民にとって到底理解しがたい行為であった。

スペインの葬儀団
一般には、首相の妻ベゴーニャ・ゴメス氏と弟ダビッド・サンチェス氏が汚職容疑で起訴され、公判中であることが欠席の背景にあると推測されている。さらに、首相周辺の閣僚らも次々と汚職事件に関与して摘発されており、こうした状況の中で首相として参列すれば、市民からの批判や罵声を浴びる可能性が高く、同伴すべき夫人も起訴中という事情から、出席を避けたかったと考えられる。
ゴメス夫人は現在までに6件の罪状で起訴されており、その背後にはサンチェス首相自身が関与しているとの見方もある。ゆえに、将来的に首相の座を退いた後には、彼自身も起訴されて公判に臨むことになるだろうと推測されている。
首相夫人が起訴されても、サンチェス首相は辞任せず
民主国家であれば、首相夫人が汚職で起訴された場合、首相が責任をとって辞任するか、総選挙が実施されるのが一般的な流れである。しかしサンチェス首相には、その意思はまったく見られない。いかなる状況でも首相の座に留まる構えだ。
また、サンチェス首相はスペイン国王フェリペ6世との関係も冷え込んでいる。特に、昨年10月にバレンシア県を襲った大洪水の際、国王夫妻とともに被災地を視察中、住民から暴行を受けそうになったことを理由に、首相は国王夫妻を現地に残して一人で退去した。これは、前代未聞の出来事であり、その後、国王夫妻が同行せずに残ったことを逆に非難するなど、首相の非常識ぶりが露呈した。この一件からも、サンチェス氏の政治的品格の低さが浮き彫りになっている。