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トルコ・イスタンブールにおけるロシアとウクライナの停戦交渉に先立ってゼレンスキー大統領は、ロシア側代表団を「お飾りに過ぎない」と批判した。プーチン大統領が参加するように要請していたからである。
これに対してロシア政府のペスコフ報道官はゼレンスキー大統領を「道化師」と呼び、「彼は悲劇的な人物であり、国を壊滅に導いている」と述べた。ザハロワ報道官は、「どんな学問的経験があるかも不明な人物が、立派な学術業績がある人物を馬鹿にするのは敗北者の行為だ」と述べた。前哨戦で感情的な侮蔑的な言葉のやり取りがあったということである。
この雰囲気を受けて、実際の交渉のやり取りは、厳しいものだったようだ。もっともロシア側の主張は、従来から変わっていない。言葉のやり取りとして、現在ほぼ支配を固めているウクライナ4州に加えて、次回は8州が交渉対象になるぞ、という威嚇があったと報道されている。
ただこれは文脈としては、現在の停戦の機会を逃すと、むしろウクライナは損をするだけだぞ、という意味だ。メディアで伝えらえているように、それらの追加的な州の占領を完成させるまで停戦には応じない、と述べたわけではない。
さらにロシア代表団を率いているメジンスキー大統領補佐官は次のように述べ、ウクライナに屈服を求めた。
「我々は戦争は望んでいないが、1年、2年、3年、どれだけ長くても戦う用意はある。我々はスウェーデンと21年間戦った(=1700~21年にかけて続いた大北方戦争)。あなたはどれくらい戦う覚悟があるんだ?このテーブルに座っている人たちの中には、もっと多くの愛する人を失う者もいるかもしれない。ロシアは永遠に戦う覚悟ができている」