世界各地に残る古代の岩絵や洞窟壁画。そこには当時の動物や狩りの様子だけでなく、時として、現代人の私たちが見ても首をかしげてしまうような、奇妙な姿の「何か」が描かれていることがある。ヘルメットを被り、まるで宇宙服のようなものを身にまとった人影。指が5本や6本ある異形の存在。これらは一体何なのだろうか?
太古の昔、高度な技術を持つ地球外生命体が地球を訪れていたのではないか――。世界中の多くの人々がそう信じている。もし本当にそうなら、2000年、3000年前、あるいはそれよりもっと昔の人々は、空から舞い降りた宇宙船や異星人を見て、どう反応したのだろうか? パニックになったのか、それとも神として崇めたのか?
不思議なことに、古代中国、マヤ、アステカ、インカといった多くの古代文明の伝説には、「天空から訪れ、人類に偉大な知識をもたらした者たち」の記述が見られる。そして、文字による記録が残されるさらに以前から、人々は岩壁に、現代では「宇宙人の来訪」と解釈されるかもしれない光景を刻みつけていたのだ。
世界中で発見されるこれらの岩絵には、人間とは思えない奇妙な生物が頻繁に登場する。さらに興味深いのは、地理的に遠く離れた場所で見つかるにもかかわらず、描かれた謎の生物たちの姿が不気味なほど似通っている点だ。これは古代の人々が実際にそうした存在を目撃した証なのだろうか?
今回は、古代宇宙飛行士説を裏付けるとされる、特に注目すべき古代の壁画や岩絵をいくつか見ていこう。
ワンジナの壁画:オーストラリアに眠る「空の神々」の肖像

オーストラリア北西部のキンバリー地域で1838年に発見された「ワンジナの壁画」は、数ある古代の洞窟壁画の中でも特に印象深いものの一つだ。まず驚かされるのは、その古さ。研究者の間でも議論の的となっているが、一説にはなんと10万年以上前(!)に描かれた可能性も示唆されている。
まるで古代のピカソが描いたかのようなアート群の中には、身長が6メートルにも達する巨大な存在が描かれている。地元のアボリジニの人々は、この謎の存在を「ワンジナ」と呼ぶ。ワンジナは人々に文明と繁栄をもたらしたとされ、他の多くの古代文化の伝承と同様に、「空からやって来た」と言い伝えられている。
さらに興味深いのはワンジナの姿だ。口がなく、巨大な黒い目を持つ、青白い顔。そして、その頭の周りには奇妙な後光のようなものが描かれている。この特徴的な姿は、人間をデフォルメしたもの、巨大なフクロウ、あるいは太古の地球を訪れた宇宙人など、様々な解釈を生んできた。