また、さえずりの内容にも変化が現れました。
両島の鳥たちは、道路から縄張りがどれだけ離れているかに関わりなく、騒音実験中に最低周波数をわずかに上げる傾向がありました。
鳥たちは騒音の中でも自分たちのさえずりが聞こえるよう調整していたのです。
さらに、サンタクルス島の個体は、騒音下で歌の長さをのばす行動も示しました。
彼らは、短いタイミングで途切れる交通騒音の隙間を狙って、自らのさえずりを効果的に伝えようとしていると考えられます。
こうした行動の変化は、生存のための柔軟な適応とも取れますが、どちらかというと、「本来の生態からの逸脱」の側面が強いと言えます。
ガラパゴス諸島という、かつては人間活動から隔絶された楽園でさえも、いまや人間の活動が野生動物の行動に重大な影響を与えています。
この研究は、我々人間の活動がたとえ僅かであっても、生態系にどれほど深い影響を及ぼすかを改めて考えさせるものとなりました。
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参考文献
Galapagos birds exhibit ‘road rage’ due to noise
https://www.eurekalert.org/news-releases/1077403
元論文
Galápagos yellow warblers differ in behavioural plasticity in response to traffic noise depending on proximity to road
https://doi.org/10.1016/j.anbehav.2025.123119
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部