戦前か戦後か。右か左か。世代や思想の分断が、今よりはるかに大きかった時代に、こうした対話がありえたことは、ぼくたちを勇気づける。
そんな正しい意味での「批判」を、取り戻そう。けっして文壇や論壇といった、特定のギョーカイの人に限った話ではない。
疫病や戦争だったり、またはスキャンダルや炎上で社会がなんらかの意見一色になり、異論はおろか違和感を表明するだけでエラソーな人が飛んできて「不謹慎だ!」「潰せ!」とリンチを煽る、ここ数年の歪んだSNS社会を終えるためにこそ、いま、この本が手に取られてほしい。
『帝国の残影』や『平成史』でも描いたように、けっして遺産を汲み尽くせない「戦後」という時代が、ぼくはとても好きだ。ひょんなことから「正嫡」になっちゃったけど、変わらず平常心で、その魅力を伝えていく。
今日から全国の書店に並びますが、他にも豊富な写真を眺めるだけでもいいので、ぜひめくってみてください。現にかつてあった、豊かで自由で、なにより愉しい「批判」に開かれた社会への入り口が、そこにあります。
参考記事:

国が亡び、父が消えたあと、人はどう生きるのか:『江藤淳と加藤典洋』序文③|與那覇潤の論説Bistro
戦後80年の今年4月、特使として米国との交渉に臨む赤沢大臣が、トランプ大統領との対面に感動して「格下も格下」と自称し、MAGAキャップ姿の写真も撮られて、物議をかもす騒ぎがあった。
「大臣は格下じゃない」立民・徳永エリ氏、「格下」発言に苦言 赤沢亮正氏は「理解して」 赤沢亮正経済再生担当相は21日の参院予算...
「大臣は格下じゃない」立民・徳永エリ氏、「格下」発言に苦言 赤沢亮正氏は「理解して」 赤沢亮正経済再生担当相は21日の参院予算...