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「暴力革命」とは何か

「暴力革命」は、共産主義イデオロギーである「マルクス・レーニン主義」(科学的社会主義)における概念である。「マルクス・レーニン主義」は、マルクス及びレーニンの共産主義革命思想であり、その核心は暴力革命とプロレタリアート独裁である。

マルクスは『共産党宣言』で「共産主義者はこれまでの社会秩序を暴力的に転覆することによってのみ自分の目的が達せられることを公然と宣言する」と言っている(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』平凡社世界教養全集15巻128頁)。レーニンも『国家と革命』で「プロレタリア国家のブルジョア国家との交代は暴力革命なしには不可能である」と言っている(レーニン全集25巻大月書店432頁)。

このように、マルクス及びレーニンによれば、暴力革命は社会主義・共産主義革命には不可欠の手段とされているのである。

ロシア革命・中国革命は「暴力革命」

歴史上初の社会主義革命であるロシア革命はレーニンが指導したボルシェビキによる暴力革命であり、中国革命も毛沢東が指導した中国共産党による暴力革命である。その他、ベトナム、カンボジア、ラオス、キューバ、北朝鮮も暴力革命により社会主義政権が樹立されている。

唯一の例外は南米チリのアジェンデ政権であり、選挙によって社会主義政権が樹立された。しかし、アジェンデ政権は米国の干渉や軍事クーデターで崩壊している。

日本共産党と「暴力革命」

第二次大戦後、日本共産党はアメリカ占領軍を「民主主義革命の解放軍」と規定し、ブルジョア民主主義革命から社会主義革命への二段階革命路線を取り、暴力革命を否定し、平和革命を目指した(1946年第5回党大会方針)。

しかし、1950年にスターリン指導のコミンフォルムから平和革命路線が批判され、朝鮮戦争が勃発すると、共産党は平和革命路線から暴力革命路線に転換した。農村や都市で山村工作隊や中核自衛隊によるゲリラ活動が行われた。いわゆる極左冒険主義による武装闘争路線である。