フラティズムの主なポリシーは「資本家の金儲けマシーンとなって資本家に搾取される奴隷となるのを拒否し、最低限の生活を維持する」ことです。

具体的な行動としては、日常のストレスを減らす・欲張らない・高収入の仕事につかない・自分の時間を大切にする・家や車を買わないなどが挙げられます。

それゆえにフラティズムは「ひきこもり」や「ニート」とは異なり、社会的に孤立はしておらず、単に職業や経済的な目標を低く設定して、健康で最小限な暮らしを心がける生き方を意味します。

そして中国で始まったフラティズムは今や、日本・韓国を含む東アジアやマレーシアなど東南アジアにも浸透しつつあります。

また、この動きと並行して研究チームは、結婚しない独身者が若年層の間で世界的に増加傾向にあることに以前から関心がありました。

これは現代の若者たちのライフスタイルや人生に対する考え方が変化していることを示唆します。

そこでチームは「フラティズムに肯定的な若者が独身でいることについてどう考えているか」を明らかにしようと考えました。

現代の若者にとって「結婚=幸せ」ではなくなっている?

チームは2023年、マレーシアに住んでいる18歳〜24歳の独り身の若者、延べ232人(女性139人、男性93人)を対象に調査を行いました。

この年齢層を選んだのは、フラティズムが主に1990年代半ば〜2012年頃に生まれた「Z世代」を中心に受け入れられているためです。

調査では、フラティズムに肯定的か否定的か、恋愛と結婚に対する価値観やそこから得られる幸福度、独身でいることへの不安など、さまざまな項目でアンケートを実施。

そしてデータ分析の結果、フラティズムに肯定的だった若者ほど「恋愛関係がなくても、充実した幸せな生活を送ることができる」という質問に同意する傾向が強いことが分かったのです。

さらに「独身でいることに幸せを感じる」「恋愛や結婚に従事することは幸福な人生にとって重要ではない」という質問にも強く同意していました。

若者の幸せにとって「恋愛・結婚」はもはや必須じゃない?
若者の幸せにとって「恋愛・結婚」はもはや必須じゃない? / Credit: canva