地球の磁場は非常に強力で、極地で垂直に伸びる「磁力線の壁」のようになっているので、それに沿ってオーロラはカーテン状に発生します。
しかし火星の磁場は非常に弱いため、オーロラも空全体にぼんやりと広がった形になるようです。
研究チームは「火星の夜空はどこにいても一様に緑色に輝いていた。極地でも赤道付近でも違いはなかった」と報告しています。
人類は火星のオーロラを見れるのか?
火星のオーロラは地球よりはるかに暗いため、今回の現象を人間の肉眼で直接確認できるかどうかは不明です。
研究主任のエリス・クヌッツェン博士は「将来、火星に降り立つ宇宙飛行士がこの緑の光を実際に見ることができるのかは今後の研究課題だ」と語っています。
しかし今回の観測は、火星の地表からでも可視光のオーロラ現象が捉えられることを証明しました。
今回の緑色オーロラは2017年に起きた火星オーロラ(紫外線)の10分の1程度の明るさだったにもかかわらず、高度な観測技術により検出されました。
より強力なCMEが火星の磁場に衝突した場合には、人間の目にも確認できるレベルの光強度に達する可能性があると計算されています。

NASAゴダード宇宙飛行センターとカリフォルニア大学バークレー校の研究者たちは今回、CME発生から3日後にSEP(太陽高エネルギー粒子)到来を予測し、火星探査車による観測を計画しました。
この事前予測型の観測の成功は、将来的な火星有人探査の安全確保にも貢献すると期待されています。
NASAの研究者たちは「この成果は可視光による火星オーロラ研究の新たな扉を開いた」と述べています。
研究チームは今後も火星の可視光オーロラの継続的な観測を計画しているとのことです。
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参考文献
The Martian Night Sky Was Seen Turning Green in a Stunning First
https://www.sciencealert.com/the-martian-night-sky-was-seen-turning-green-in-a-stunning-first