ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は13日、右翼過激派の「帝国市民」運動と関連した組織「ドイツ帝国」を禁止処分し、全土の拠点を強制捜査、この架空国家の自称トップを含む首謀者とみられる4人を逮捕したと発表した。カールスルーエの独連邦検察庁によると、逮捕者の中に同「帝国」の創設者ペーター・フィッツェク氏が含まれているという。

ドブリント内相、ドイツ連邦内務省公式サイトから

内務省によると、13日早朝(現地時間)、バーデン=ヴュルテンベルク州、ニーダーザクセン州、ノルトライン=ヴェストファーレン州、ラインラント=プファルツ州、ザクセン州、ザクセン=アンハルト州、テューリンゲン州にある同帝国の関連施設、建物や主要メンバーの自宅が一斉捜索された。治安当局によれば、「ドイツ帝国」は2012年にヴィッテンベルク(ザクセン=アンハルト州)でフィッツェック氏によって宣言され、創設された。

ドブリント内相は「帝国のメンバーは、国内に『反国家』組織を作り出し、経済犯罪網を構築した。メンバーは、国家を陰で操る「ディープ・ステート(闇の政府)」に政府が牛耳られていると考え、反ユダヤ主義の陰謀論を展開、自らの権力を裏付けた。憲法国家のわが国でこのような反国家的な行為を容認することはできない」と説明。そして「帝国の目的と活動は刑法に違反しており、憲法秩序に反する」と主張し、今回の禁止処分を下した背景を説明した。

内務省によると、「『ドイツ帝国』は明らかに利益志向の姿勢を特徴としている。違法な銀行取引や保険取引は、長年にわたり下部組織を通じて行われてきた」という。1965年にハレで生まれたフィッツェック氏は、何度も法廷に出廷し、有罪判決も受けている。

ちなみに、「帝国市民」が2022年12月7日、民主主義打倒とドイツ帝国復活を目指すクーデター計画を立てていたとしてメンバー25人が一斉に拘束されるという事件が発生した。同組織の中心人物は貴族の子孫で自称「ハインリヒ13世ロイス公」、貴族ロイス家の末裔という。