世間の議論を呼びそうな研究結が報告されました。
米バロー神経学研究所(Barrow Neurological Institute)の研究チームはこのほど、ゴルフ場の近隣に住んでいる住民はそうでない人々に比べて、パーキンソン病の発症リスクが高くなる可能性を発見したのです。
これはもちろん、ゴルフ自体が体に有害なのではなく、ゴルフ場で大量に使用されている農薬や化学物質が原因とされています。
果たして、この主張は正しいのでしょうか?
研究の詳細は2025年5月8日付で学術誌『JAMA Network Open』に掲載されています。
目次
- ゴルフ場の近くに住むとパーキンソン病になりやすい?
- 専門家からは懐疑的な意見も
ゴルフ場の近くに住むとパーキンソン病になりやすい?
パーキンソン病は、主に脳内のドーパミン神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。
ドーパミンは運動をコントロールする重要な役割を担っているので、これが減少すると、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなどの症状が起こることで知られています。
原因はまだはっきりと解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因の複合的な影響が指摘されています。
例えば、農業従事者や過去に工業活動が盛んだった地域に住む人々ではパーキンソン病のリスクが高い傾向がある、と先行研究で示唆されていました。
また実験室研究では、一部の農薬や大気汚染物質がドーパミン神経細胞に有害であることが示されています。
しかし人工化学物質がパーキンソン病の要因となる可能性がある一方で、遺伝的要因も影響している可能性があるため、現時点では決定的な証拠はありません。

そこで研究チームは今回、大量の農薬や化学物質が使用されていることで知られるゴルフ場と、パーキンソン病の発症リスクとの間に相関関係が見られないかどうかを調べました。
調査では1991年から2015年までの米国ミネソタ州とウィスコンシン州の27郡における住民データを使用し、419人のパーキンソン病患者と5,113人の健常者を比較。